有頂天家族2、サクラクエスト、そしてエロマンガ先生
2017年 04月 19日
有頂天家族2は、奈良県出身京大卒の森見登美彦の傑作と表現していいと思われる、
有頂天家族・二代目の帰朝、のアニメ化である。
帰朝という表現はちょっと懐かしい。
原作小説は2015年の冬に刊行されており、私は早速買ったが、アニメ化後に読もうとおいていた。
最初から夷川呉一郎や南禅寺玉蘭が出てくるところは原作とは違う。
ただお話し的にはうまくまとめていると思う。
天満屋をどう動かしていくのか興味深かったが、きちんと想像に近く動いている。
キャラクターデザインも第一作からの破たんなくまとまっている。
例によって背景の京都の景色は実景を使ったもので、聖地巡礼用とさえいえる。
1期の第一話は京大の百万遍の交差点が頭に出てきて、レブン書店さんがそのまま出てたのがふいた。
ともかくそういうのを含め、ここがP.A.Worksのお仕事だと感心した。
そのP.A.Worksの今季もう一作投入という(後ろ結構地獄なんじゃないのか)偉業の片方が
サクラクエストである。
温泉旅館の奮闘群像劇「花咲くいろは」、アニメ制作会社の苦闘劇という楽屋落ちの「SHIROBAKO」に
つづく働く女の子の”お仕事シリーズ”第3弾。
関口可奈味氏のキャラデザインは3作共通で、特に今回はSHIROBAKOの宮森あおいと共通したイメージの主人公で、声優の声の質も似ているように思え、あおいと同化して見れ、新人の苦闘劇とすんなり入れる。
そういえば、元女優というまきの声は言い方、声質ともに知った声と思ったら、ユーフォニアムの高坂。
しおりの能天気発言、それ根拠あんの、みたいなのを聞いていて、これは南鎌倉高校女子自転車部の
舞春ひろみだと気付いた。声質でやる役は同じようになるな。
木春由乃の東京中心思想は昔の田舎者の思考ではあるが、そう思えた時代がまさしくあった。
今も確かに東京中心であることは動かないが、階層によって見える景色が完全に分化し、
夢も希望もある景色ではない。既にさなえやまきに指摘されていっている。
自分自身も田舎を捨ててきており、自己矛盾の物語でもある。
由乃が東京には夢も希望も何もかもある、という思考が変わっていく物語と規定していいのだろう。
ある種P.A.Works自体も越中の動画会社で、東京でできることは富山でもできるを実証してきた、といえる。
前作のあおい、えま、しずか、みさ、みどり、(話できすぎな集まり方だったが)と同様に、
よしの、しおり、まき、りりこ、さなえ、の5人も揃って、(今回は無理ない集まり方)
これから物語は転がっていく。
2期(24話くらい)完結というこれまでのパターンではないだろうか。
で、最後に取り上げるのは、伏見つかさ=かんざきひろ、のある種黄金コンビの「エロマンガ先生」。
私はライトノベルなんて読まない人だったが、読むようになったのは、
このコンビの「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」と「僕は友達が少ない」だったが、
私にとっての俺妹は秋葉原やサブカルの現状を知るための情報小説的な意味合いも大きかった。
今回はあの、ええ、やっぱりそのエンドに行くんだね、という終わり方の前作から、ほとんど開き直った、
血のつながっていない「妹」エンド一択じゃんか、こんなの、という始まりで、キャラの魅力だけが
私にとってこの作品を読み続ける理由と化しており、アニメもある種惰性で見ている感も無きにしも非ずだ。
既に主要登場人物は動いており、山田エルフと千寿ムラマサの動かし方を注目したい。
高砂智恵は原作のイメージ以上に動きまくっている。
まあ楽しんでいるのかもしれない。なおエロマンガ先生とは妹の絵描きとしてのペンネーム。
実のところ一番お気に入りはエルフなのかもしれぬ。でも前作も黒猫は悪の化身みたいになったし。
エルフもそうなる可能性は高い。
まあ一期で終わる作品ではないので、今後に期待したい。