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考古学・歴史学、趣味の色々な雑文


by nara-archaeol

Mine SixとOfuna Six ヤフオクにて ミネシックス・オーフナシックス

たまたまヤフーオークションをみていたら、アイレスペンタ35があったので、他に珍しいものがないか、とサーフィングしていたら、なんとあの群馬県の超短命カメラメーカー、高嶺光学(たかねこうがく)のMine Six ⅡFを見つけてしまった、しかも珍しい、旭光学のTakumar 7.5cm F3.5付きである。

このメーカーは群馬県の高崎郊外で、朝鮮特需を狙って一旗あげたメーカーだった。

井沢広治さんという農家の長男がその農家の庭先に作った機械工作の工場(大同精工)がスタート。
1952年のことであったらしい。始めは同じ高崎に縁があった尾久の三浜精工の下請けだった。
三浜がミハマシックスというカメラを作るようになり、それを下請け加工するうちにカメラ生産のノウハウを得た井沢は自身でもカメラを作ろうと思い立ち、1953年にダイドーシックスなるカメラを世に送り出した。部品はそこらあたりで適当に仕入れたものだったらしいから、安いことのみが特徴というものだったらしい。桜井なにがしなる元貴族院議員の高崎の名士でカメラマニアが押し掛け顧問になり、特徴あるカメラを作るために町田信義さんや高松金吾さんを入れて充実を図った。

その結果がこのMine Six ⅡFである。
ボディーダイカストはミハマシックスのものを少しいじって流用。
6×6、6×4.5の切り替え。単独距離計付き。

どんなレンズがついているかは個体によって違い、収集しごたえがあるカメラである。

なにせ伝説のZunow(ズノー)光学のレンズ付きと称するものもあるのである。

私が持っている個体は確か、日東のコミナーつきではなかったか。

これがノーマルな機体である。

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後継のMine Six ⅢSというタイプを改良してリリースするが、これはコニカ、マミヤ、アイレスから
特許からみのクレームが入って色々あったようだ。なおⅢSのレンズは大船光学製だった。
大船ということだからいいレンズであるといえよう。

ただアイレスは安価な蛇腹6×6カメラを必要としており、逆にOEMを提案して来、結果アイレスバイスロイとしてリリースされている。ただ会社は1958年の10月ころ、大手の取引先の大阪の業者が不渡りを出して倒産し、連鎖で会社整理となり消滅した。

最後に確か最初の単独露出計つきのスーパー66(といったか)を出したことはカメラ史上に残る偉業だろう。

さて、で、Zunowというのがついてるとなっているのは、神奈川県の鎌倉近郊の大船光学がOEM生産してMine Six として出荷したものらしいのである。

その大船光学のOfuna Sixもヤフオクにあった。

私が持っているOfuna Sixはアメリカのどこやらで入手したもの。

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Ofunaのものはオペラグラスが多く残っており、例の「Made in Occupaid Japan」と書かれて
Occupaid Japanものとしては入手が容易なものである。
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大船光学製で私が多く持っているのは双眼鏡であり、なかなかいいものである。

これはいいもののはずで、大船光学はあの、富岡光学(現京セラオプティック)の陸海軍関連の軍需工場が独立して作られた会社で、もともと海軍に納入する光学兵器を生産していたのを民生に切り替えたものだったからである。

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他に二眼レフカメラ(オフナーフレックス)も作っていたが、昭和30年代を乗り切れなかった。

Ofuna Sixにも個体差が色々と存在しているらしいが、本当にどう違うのか分類研究されてはいないと思う。

で、逆にOfuna SixにMine Six をOEMしているという逆のケースもあるらしく、一度研究してみたいものですが、それをしようとすると、多くのこの2機種のカメラを入手しないといけなくなるので、お金から断念ですね。

だれかやってくれませんかね。

ともかく蛇腹の、6×6、ブローニーフィルムカメラについて2台取り上げてみた。

しかし、こんな珍しいものもヤフオクにもあるんですね。

まあアイレスペンタ35もたいがい珍しいですけど。

レンズシャッター一眼レフの、「傑作珍品」。

アイレス末期の奇態なカメラである。

アイレスペンタを今2台手元に残しているが、レンズの劣化で微妙な色に出て、それが狙って出せる味ではなく、それをとても気に入っているのである。

こういうカメラを楽しめる人こそ、本当のカメラ好きだと思います、私は。

まあ、この3企業お互いにOEMしあったりしていて面白い関係なのだけど、大船は1963年、アイレスも1960年に消滅したのであった。アイレスの35Vというレンズ交換式のカメラについてはまた書いてみたい。

5.7追記
なおミハマシックスについては以下の記事を発見した。
https://mihamagiken.wordpress.com/tag/%E3%83%9F%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/

三浜は企業としての形を変えながらも存在している。
なんだかうれしくなった。
ノリタ光学は会社を存続させていたが解散したと聞いた。
武蔵野光機はどんどん会社の形を変えつつまだあるらしい。
武蔵野が最初に作ったが倒産で消滅した「リトレック66」を拾って製品として
流通させたノリタ66のノリタ光学(車田と書くそうだ)の方が2005年解散だから
わからないものだ。

ノリタ66は今や20万円近くはする。レンズが完全に揃うと30万を超える代物。
私が持っている個体はアメリカのグラフレックスを介して販売されたダブルネーム。
「グラフレックスノリタ66」
広角域の一種類のレンズだけは持っていない。
尚カメラ箪笥にリトレック66が眠っているがあれは価格一体いくらくらいするのだろう。
ノリタ66よりは高いだろうなあ。値段のことをいうのはなんだけど。
ここで取り上げたカメラは全部我が家に存在するのだがまあよく集めたものだと思うが、
私が死んだらどう扱われるのかが心配だわ、正直。
価値がわかる人にさわってもらいたいね、イタリアのGamma3とかRectaflexとかDucatiとか。
Ducatiは例によってやはりシャッターが死んでるけど、美しいのは美しいから。
でも本当田中長徳さんも書いてるけど、シャッター生きてるDucatiってないねえ。

5.8追記
ミネシックスについては以下の文献があることが分かったので付記しておく。

中村文夫:ミネシックス:続・スプリングカメラでいこう
 写真工業:61(647) pp.11-13,2003.3

作例写真もあり、なかなかいい味の写真が撮れることが確認できる。

5.11追記
ミネシックスのヤフオクの出品物が終了して6500円なりとなった。希望落札価格よりは大幅に下回ったが、機械として使うより、観賞用と考える方がかたいものとしてはまあいいお値段であろう。不思議なことに前橋市の業者で、あの辺にはまだタマがあったのだろうか。もう一台手に入れる気にはならず当方は手を出さなかった。

7.24写真を増補。

by nara-archaeol | 2017-05-05 01:56 | カメラ関係