樺太地上戦ドキュメントで伯父を想う
2017年 08月 18日
NHKは一連のドキュメントを流していた。731部隊のは色々思うことがあるが、また書くことがあれば書くことにしたい。
事は樺太地上戦の方で色々思い出したので書く。
私の伯父の一人は京都帝国大学の文学部東洋史学科の卒業生であり、私が東洋史へ進む原因となった人物である。
伯父の関係で村上嘉実先生や藤枝晃先生、長広敏雄先生などに私は教わることとなった。
その伯父は流れ着いて樺太師範学校の教授となっていた。
戦争が終わった。流言飛語が飛び交う中、ソ連軍が進駐してきた。戦闘があちこちで起こっていたと聞いた。
結局は無駄で、占領下に入った。
伯父はソ連軍の士官と知り合いになったそうだ。
で、いつのことかは聞かなかったが、そのソ連軍の士官がそーと近づき、シベリアに送られるから、逃げろ、と教えてくれたそうだ。
で、必死に船を探して稚内へ家族で逃げた。
その直後に一部はシベリア送りとなっていったそうだから、本当に運が良かったというか、そのソ連将校のおかげというか。
伯父一家はそのソ連将校に感謝していた。
伯父は一切の財産をなくして和歌山で土着し、教員などをして亡くなったが、ある種飄々としていたのは樺太の経験がそうさせていたのではないか、と思う。
一杯人が死んでるのを見た、とは言ったが、細かいことは一切語らなかった。
しかし、今回のドキュメントを見て思ったことは日本は組織的な犯罪行為の責任を取らない社会で、それが基本変わっていないことだった。
伯父も被害者の一人であったと思う。
詳しく聞こうと思わなくもなかったが、忌まわしい記憶っぽかったので、聞けなかった。
そういう人は一杯いたのだろう。
ただNHKが発見した、発見した、というのは、ねえ。ロシアのアーカイブはしっかりしているから、あったのに行き着いただけだと思うんだけどねえ。ロシアのアーカイブのことを知って、和歌山出身の宇野脩平さんはアーカイブセンターを作ろうという夢想を行って月島の研究室をやった。
結果計画は夢想段階だったので、霧散し、網野善彦さんらはその後始末に奔走することとなる。
それもシベリア抑留の一つの結果であったと思うと何だか無量なものがある。
尚このドキュメントはNHKオンデマンドで見ることができる。
https://www.nhk-ondemand.jp/