ようこそ実力至上主義の教室へ.7.5巻 華麗なるジョブチェンジ:軽井沢恵
2018年 05月 14日
でもそれでゴロゴロしていても、書かないといけない、創作系の本が増えるばかりである。
で、思い切って手を出してみるのは、今年に入ってすぐに刊行された表題の本。
MF文庫を購入するのは、「僕は友達が少ない」以来となる。
このシリーズに手を伸ばしたのはアニメーションを見て物語に感心したのと、安定のトモセシュンサクのキャラ造形であった。
物語を簡単に言ってしまうと、秘密の訓練教育を受けさせられてきた主人公綾小路清隆が、そこを脱走して進学した、高度育成高校での日々を描く物語。
そこは勝ち抜いた者だけがチャンスを得れるという異様なシステムの学校で、徐々に学校のシステムが明らかになっていくという、謎解き要素を持つ面白い展開の本である。
この巻はある程度勝ち抜いてこれた、主人公とクラスメートの2学期と3学期の間の「クリスマス」回と思われなくもない、7.5巻というインターミッション的な巻数を割り当てられているが、本当は実に大きな展開をした巻となった。
こうした「ライトノベル」作品の場合、メインヒロインが人気を支える。
ところが、この作品には、ヒロイン候補はいるが、メインがいなかった。
例えば堀北は作者自身もメインにする気はなかったと思う。
櫛田は黒すぎる。
佐倉は小動物すぎて。長谷部も浮上する可能性を見せているのみ。
一ノ瀬がヒロインぽいのだが、他のクラス構成員ではメインとして使うのに無理がある。
坂柳と伊吹は「敵」としてしか規定できない。
浮上してきたのは佐藤摩耶だったが、軽井沢には太刀打ちできなかった。
軽井沢は最初船の中の一件から、綾小路の捨て駒としてしか描かれなかったが、徐々に存在感をましてきていたから、この巻の展開は予想がついたことはついた。
ここから、クラス間の競走に、新生徒会との抗争を含んだ、3学期へと入る、(おそらく)8巻へ流れていく。
綾小路と軽井沢は生き抜いていけるのか。
そして櫛田をどう追放するのか。
龍園との共闘はあるのか。
坂柳、これをどう動かしていくのか。
作者大変だと思う。
トモセシュンサクらしいと私が思う、一ノ瀬はどうなってしまうのか。
ともかく華麗なる転身、恋する乙女、軽井沢恵が綾小路の一番として君臨していけるのか。
まあ面白いただのクリスマス回でなかったこの巻。
今後の展開に期待したい。